主観長屋(しゅかんながや)

TERAYAMA Shizumi/ 3月 10, 2013/ 落語/ 0 comments

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「信じる力」は強い方がいい。

たとえそれが誤解だったとしても、疑ってかかるよりはずっといい。

子どもの頃、僕らは誰もが信じる力を持っていた。
折り紙で作った飛行機を飛ばし、人形を使ってままごとをした。

そして自分で作った物語に、微塵も疑うことなく没頭することができた。
可能性はいつだって無限に広がっていた。
むしろ可能性なんて言葉は入り込む余地すらなかった。
だって目の前で起こっている物語が、100パーセント真実だったから。

そしていつしか、真実と事実は違うということを知り
「疑う」という感情が芽生え始める。

恐らく、サンタクロースは実在しないと気がついた頃から
世間を、大人を、そして自分自身を疑ってかかるようになるのだ。

それが第二次成長期であり、自我の発育なのだから避けて通ることはできない。
勉強でつまづき、友達関係に悩み、家族の信頼が揺らいでくる。

そんな時期に、決まって世の大人たちは「夢は信じれば叶う」とか言ってくる。
でも残念ながら夢は信じても叶わないと
子どもたち自身が一番よく理解している。

想像力を失った代わりに、僕らは孤独と不安を手に入れる。
孤独に負け、不安に押しつぶされそうな夜が、痛みを伴い何度もやってくる。
痛みを癒すために、あてもなく街をさまよい、人ごみに溶けていく。
顔のない人間が、今日も満員電車に揺られている。

残念ながら、孤独と不安から抜け出す方法はない。
少なくとも僕は知らない。

だとするならば、正面から堂々と付き合っていくしかないのだ。
孤独と不安に対抗できる唯一の方法があるとすれば
僕はそれを「希望」と呼びたい。

希望は、むやみに夢を語ることではない。
希望は、もっと現実的で実態を伴ったものだ。

震災からもうすぐ2年。
多くの悲しみを背負った人たちが、少しでも笑顔を取り戻せるように。
むりやり故郷を追われた人たちが、いつか必ず帰郷できるように。

空とぶブリキは茜色まで100マイル。

これはかつて、空を飛んだ紙飛行機が、夕暮れ時まで羽ばたいて時代の物語。
誰もが信じる力を疑うことのなかった時代の物語。
そんな物語を紡いでいこう。

幸せはいつも小さくて、それでも明日はきっとやってくる。


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