三年目(さんねんめ)

TERAYAMA Shizumi/ 9月 13, 2012/ 落語/ 0 comments

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一献の紅の酒、一巻の歌。それにただ命を繋ぐ糧さえあれば。
君と一緒に、例えあばらに住もうとも、心は栄華に勝る愉しさよ。

<ハヅキの台詞>
最後の手紙です。
今さら確認することでもないですが
太陽が姿を消して以来、ここには食料がありません。暖を取る薪もありません。
あるのは飢えと寒さと争いだけ。
希望を語るには、この町はあまりにも疲れています。
坂本龍一も役には立ちません。
だから俺、決めたよ。この町を出ることにした。
ここから遥か南、幾つもの山を越え、川を渡り、森を抜けたその先に
桃源郷があると聞きました。
そこでは一年中花が唄い、緑が咲きほこるそうです。
もちろんお腹をすかせて泣く子どもはいません。
無意味な争いに明け暮れる大人もいません。
そして何より素敵なことは
そこでは太陽が照り輝いているのだそうです。
まさに夢のような生活が待っています。
だからコズエちゃん、僕と一緒にこの町を出ませんか?
二人で太陽の温もりに抱かれてみませんか?
春は引っ越しの季節です。
新しい町で、新しい家の玄関に
二人の名前の彫られた表札を掲げてみませんか?
今度の新月の夜に、
町のはずれの井戸の前で、あなたが来るのを首を長くして待ってます。
                            ハヅキ

追伸
アネモネで作った口紅を同封します。
アネモネの花言葉は…恥ずかしいぃ!

中略

<コズエの台詞>
くじけるぞ。
もたもたしてるとくじけるぞ。
自慢じゃないけど、私のやる気は根性なしなの。長続きしないの。
パッと光ってパッと消えちゃうの。
一度消えたら、今度はいつ出てくるか分からないの。
知ってるでしょ、私のダメっぷり。
暗いよー。いじけるよー。
自分でも手におえなくてどうしようもないの。
それくらい人間がダメなの。ダメ人間なの。
だからお願い。
私を止めないで。
何も聞かないで。
そして黙って一緒に歩いて。
今止まったら、私、泣くぞ。
ウソ。
本当はもう泣いているの。
一生懸命こらえてるの。
何言ってるか分からないでしょ。
そりゃそうよ、私だって分からないんだもん。
そしてこんな出鱈目な私だけど、どうぞ幸せにしてやって下さい!

<ハヅキの台詞>
こちらこそ、よろしくお願いします!


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